こんにちは、編集部Hです。認知症の専門家にお話を聞くこのコーナーですが、今回も東京都立産業技術大学院大学で、認知症・神経心理学講座 特任教授をされている佐藤正之 先生にお話を聞いてまいりました。佐藤先生には、脳検の監修もしていただいています。
編集部H)
認知症って、治療できるんですか?
佐藤先生)
確実に認知症の人は増えていきます。なぜなら、全世界的に平均寿命が延びているからです。まだまだ経済的にも制度的にも対策が行き届いていない国も多く、日本のように国家レベルで対策を講じている国は20ヵ国程度。ですが現在のところ、認知症を起こすほとんどの原因疾患には根本治療薬はありません。
編集部H)
なるほど、治療できないのであれば、どうしたら認知症を予防できるか考えることが重要ですね。予防って具体的に何をすればいいんですか?
佐藤先生)
まずは、運動が大事です。認知症には一次予防と二次予防、すなわち発症予防と進行抑制があり、唯一いずれにも有効性を確立しているのが運動療法です。有酸素運動ですね。週に3日、1日40分間少し早めに歩くことが有効で、朝20分・夕方20分にわけても大丈夫。さほどハードルは高くないと感じますが、これがなかなか始められない、始めても続かないものなんです。また、伴奏に合わせて体を動かす『リズム体操』はアトラクティブな楽しさがあり、続く人が少なくありません。脳と運動の関係は科学的にははっきりわかりませんが、研究結果としては効果が出ています。
編集部H)
運動以外で、気を付けることはありますか?
佐藤先生)
メタボリックシンドロームをしっかりコントロールすること。中年期から行うことで発症率が下がるという研究結果があります。普段の食事を見直してみましょう。極力昔ながらの日本食にするといいですね。魚や野菜、高タンパクの豆腐などカロリーが低いものをバランスよく摂りましょう。緑黄色野菜に含まれるビタミンは認知症の予防に有効だといわれています。ビタミンといってもサプリではだめで、食事というかたちでさまざまな栄養素と一緒に摂らなければいけません。ひとつ気を付けたいのが塩分。日本食は醤油を多く使いますから。
編集部H)
より有効な予防策は?
佐藤先生)
初期の段階で自分の脳の状態を鋭敏に把握し、認知症に対する意識を高め、モチベーションに繋げられる。脳検はそのきっかけの一つになり得ると期待されます。中には、病院を嫌がる人もいますし、自分は大丈夫と思い込んでいる人も多い。そういう人にも気軽に受けていただきたいですね。
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